上達の工夫:一生懸命長期間練習していてもちっとも上達しなくなった理由
長く続けて数をこなしていれば勝手に上達する。と思っていたら、どうも伸び悩む。その理由は何か。
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パフォーマンスが上達の妨げになる時 | エドアルド・ブリセーニョ | TEDxManhattanBeach
・簡単にいえば「練習」と「本番」があり、「本番」の目的はうまくやることであって「上達」じゃない。失敗しちゃいけないのが本番なんだから当たり前だが。
・この上で、今まで私たちは「本番も練習になる」と思い、大抵の場合は「実利」がある「本番」に多くのリソースを割いてきた。
・RPGでなぜかボスだけは倒しても経験値ゼロのゲームがあるんだが、そんなボスばっか倒しまくって「レベルが上がらない」って言ってる状態だってこと。EXP的な意味では倒すのに苦労するそのボス(本番)は序盤の雑魚以下だってことになる。切ないね。
・「そんなことはない。最初の頃は確かに上達していった。今、伸び悩んでいるだけだ。スランプ状態に悩んでいるのだ」との声が聞こえてきそうだが、それ多分ただの「慣れ」だ。「慣れ」は本番でもする。やれば慣れる。慣れの中には「簡略化」も含まれる。だから手際よくなりはする。だが「上達」ではない。「早く・楽になる」だけだ。それもクオリティの一部だが。
・また、確かにその通り初期当時成長していたのかもしれないが、今もその当時と同じような「必死さ」や「上達の必要性」、つまりは「成長への飢え」、あるいは「具体的な目標」、「どうすればいいかの知識」を持っているだろうか。
・仮にそれらを持っているのだというのなら、尚更安全安心に失敗できる「練習」という時間は喉から手が出るほど欲しいはずだ。なのに本番で十分だと思っているのはおかしい。つまり、この視点では成長の必要性は感じていないし努力もしてない。回数や期間に応じた成長を「期待」しているだけで。
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◆スモールステップ
・トーク中のデモステネスの例だが、アレが「克服・上達」としては理想的な例だろう。剣が刺さるようにする必要はないが。1つ1つピックアップして、クリアしていく。一方、私達が今現在「出来ること」というのも実はこれと同じような過程を経ているはずだ。
・苦手な部分を気にしながら、注意して実行する。或いは注意されたり怒られたりしてそうせざるを得ない状況を過ごし、やがて克服している。こういった「練習」に該当することを、「本番内」でやっていることは結構多い。
・このデモステネスのやったことは、スキナーという心理学者が語る「スモールステップ」と同様だろう。目標を細切れにし、1つずつ克服していくこと。「一歩」を小さくすること。後述するが「上を目指すだけのひたすらな努力」というのは、例えるなら3メートル先のタイルに一歩で到達しろと言っているようなものだ。頑張っても難しい。まぁ、股が首くらいまで裂ければいけるかもしれませんが。
・裂ける努力をするよりも、小さく歩いていったほうが明らかに早いだろう。痛くないし。真面目な話、取り組む際の心理的なハードルを下げ、尚且つ目の前に「もしかしたら今日できるかもしれない」と思えるレベルの課題を設定するスモールステップは「継続する努力」としても非常に有能になる。つまり「効率的で、続けられる努力」。素晴らしいね。目標設定と細分化がめんどいが。
◆成長を止める瞬間
・実力に満足すると、そこで成長が止まる。「このままでいい」、「ここまででいい」。まぁ実際にそこまででいいんだったらいいんだが。そうやって満足すると実際に練習に時間を割かなくなるとトーク中では言われているが、それに加えて思考も「アウトプット」に専念するようになり、後述するフィードバック的思考も鈍るようになる。必要がなくなるから。
・私は
完璧主義や根性論のようなことを意味もなく言うのも聞くのも嫌いだから誤解のないように言っておくが、今回語っているのはあくまでも「自分でその必要性を感じたら」の話に限っている。別に例えば周りの連中と同レベルの実力があってそれ以上は望まないというのならそのままでもかまわないだろう。代わりに何をやりたいのかは興味あるけどね。まぁ、ゲームだって難しいのもあるし、趣味はできれば極めたいだろうし、「練習」の対象には困らないと思われる。
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◆「上達を目標とする」
・「本番」の場合目標は成功させることにある。「練習」の目標は、「今の自分以上になる」ことだ。
・重要なのは、トーク中に出てきた「限界的練習」の提案者・アンダースエリクソンは「コンフォートゾーン(居心地のいい領域)を抜け出そう」と言っている点だ。言い方を変えれば「出来ることをやってるだけじゃ上達なんてしないよ」ってことになる。まぁ、うん。
・本番、つまりパフォーマンス領域とは「実力を発揮すること」に他ならない。もちろん大切なことだ。ただ、「上達」とは違うものだ。場数を踏めばスムーズに実行でき、緊張しなくなるだろうが、それは「慣れ」だから上達とは違う。練習は、「実力を鍛えること」だ。上達はこっちだろう。
・初めたばかりの頃の成長ってのは、要するにそれが「出来ないことだったから身についた」わけで、出来るようになっちゃったらそれ以上上達はしませんね。前述の「満足」に該当する話。スピードとか、精度だとかもそこで「安定」してしまい、それ以上になりたいのなら、改めて「出来ないことが出来るように目指す」必要がある。つまりは「上達したいなら上達を目標とする」となる。
・環境的な要因で自然と練習が行われ、実力が身につき、その後「本番」一色、というのもあるだろう。例えば職場で、その業界に全くの素人が入社したとしたら、出来ることがないのなら何かしら芸を仕込む必要がある。周りはそう動くだろう。当人もその必要性を感じている。要するに、「練習していい環境」が揃っている。練習に専念できて給料もらえるわけだから幸福だね。新人の給料は雇う側からしたら「投資」だと言われるのも頷けるだろう。
・ただ、何かしら「出来るようになった」ら、「仕事」に使われることになる。業務時間の中で練習の時間はなくなり、本番の時間となる。まぁ当たり前だろう。この時点でさらに何かしら新しく成長するためには「自主的に」練習のタイミングを作らなければならないことになる。この姿勢は段々となくなっていく。トーク中にも仕事のスキルは3年位で成長が止まるとあったが、まぁこういうことだ。それで十分やっていけて、何ら問題がないのだから。
・しかし同僚同士でも実力の違いはあるね。また、スキルが高ければ何かしら有利になるかもしれない。何より
「慣れ」は「飽き」に直結している。単純に充実感を得るために上を目指すのもありかもしれない。出来るようになれば大抵のことは楽しいものだ。
◆フィードバック
・もう1つ盲点になりやすいのは、フィードバックだ。つまり「上を目指してひたすら努力する」だけでは足りない。これだけだと変な癖がついたり時間を無駄にしたりする。本当に成果が出ているのか、改善点・反省点は何かの「フィードバック」をしながら前に進んでいく必要があるということ。
・頭使って努力しないと努力は平気で嘘つくよってダルビッシュが言ってた。大抵の場合、努力の「量」に見合ったものを私たちは欲しがるが、本当に重要なのは努力の「質」だということ。量が問われるのはその後だ。ただ単に回数や時間、「終わらせること」だけを気にして行う努力なら、それはあまり上達しないと思われる。慣れはするだろうが。
・「即時フィードバック」という概念がある。言葉通りその場ですぐにのフィードバック。その場で結果が確認できたり、その場でアドバイスや修正点を指摘したりということを指す。えらい簡単にいえば「答え合わせと復習はすぐにやれ」ということ。脳にやったこととその結果の因果関係を分からせるには有効だろう。
・これが効果的というよりは、やったこととフィードバックに時間差があると効果が薄くなっていくことを意識したほうがいい。
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◆限界的練習について
・「限界を超えること」に主眼をおいた練習法と言える。一部の人は好きそうだねぇ。
・概要としては「今の自分にとってちょっと無理のある努力を続けること」。これによって「伸びる」。
・重要になるのはスキルの細分化だ。だってほら、↑読んで大抵の人が思うことってのは、せいぜい「もっと早く、もっと正確に」程度だろう。それじゃあガバガバで、足りないということのようだ。
・つまり具体的な目標の設定と、そこに至るための「階段」としての細かな小目標=1つ1つのスキルの成長・克服。
・うまくいかないという悩みが「なんとなくパッとしない」程度の具体性しかないのなら、「どうなりたいのか」、「なにが足りないのか」を考える所から「練習」は始まるということ。
・朗報としては「生まれつきの才能なんて証明されていない」ということか。逆を言えばどう動くか、どんな努力をするかは問われる。
◆まとめ
・本番をひたすら繰り返したところで「手慣れてくる」だけであり、実力が上がるわけではない。
・具体的な目標設定→それを細分化した小目標を作る→小目標を一つずつ克服すること。
・フィードバックを意識する。つまり出きる限りその場で改善点を模索すること。
◆関連リンク
コンフォートゾーンについて
◆文中のリンク
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