血液型別性格判断/分類と認知バイアス
決めつけずに、ちゃんと相手を見ましょう。
◆目次
◆浸透しているミーム
◆「バーナム効果」
◆「予言の自己成就」
◆血液型別性格診断が「当たっている」と思う人達へ
◆
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◆浸透しているミーム
血液型別性格判断を「知らない」という項目自体がない点から、信じる信じないは置いておいてこのミームの浸透率は異様に高いといえる。
ちょっと前まではこれ以上に信じている人のほうが多かったのではないだろうか。
一部ではブラッドタイプ・ハラスメント(血液型によるイジメ、差別)などが問題にもなっていた。
一部の企業の雇用の判断基準になっていたこともある(現在進行系かもしれない)。
なんでもB型は不採用という会社が幾つかあるらしい。
まぁB型と聞いてイメージする「キャラクター」がその仕事では歓迎されないもの、ということだろう。
これは相手そのものを見ておらず、決めつけている。
いかにもヒューリスティクスな思考回路だ。
その上不採用だった時点でその通りの性格だったのか、正否を確認がしようがない。
現行で採用基準の一つに血液型がある会社は、なかなか改めないだろうね。
業績が上がれば「B型がいないからだ」、業績が下がれば別の何かのせい、そんな感じで思い込みは強化され続けるだろう。
同じように個人間でも相手の血液型を知って、「血液型通りの要素」のみを無意識にピックアップして「やはり血液型判断は正しい」なんて思い込む傾向が強い人も多い。
規則正しければA型だからだ、
大らかならO型だからだ、
ミステリアスならAB型だからだ、
そしてB型は血液型の話になると大抵サンドバッグになる。
ちなみに「なぜ人は決めつけたいのか」だが、「安心したいから」というのが一番強い理由だ。
ポジティブな表現をすると、よく知らない相手に対して
「相手がどんな人間かわからないから血液型別性格判断に当てはめて理解しよう」
ということ。
「理解」した以上はそれ以上の「疑問」を持つ必要はなくなる。
どういった対応をすればいいかの方針を立てることも出来る。
だから一刻も早く理解・解決したい。人間はこの気持が強い。
このせいで無意識的に決めつけを行う。
そして、それ以上理解しようとはしない。
人間観察をして血液型を当てよう、と試みる人もいる。
私もお題にされたことが何度もあるが、一度も当てられたことはない。
残念、ハズレです。
当たった所で相手がAかOだった場合、A型とO型が日本人のそれぞれ4割、3割だから、AかOって言っときゃ7割当たる計算になる。
だから 当たった所で血液型別判断が正しい、とは断言はできまい。
確証バイアスの厄介な所は自分の思い込み(決めつけ)を肯定する要素をピックアップし、否定する要素はフィルタリングするか「珍しいこと」としてつじつま合わせをすることだ。
信じている人間の脳内では、世界はその通りのモノになる。
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◆「バーナム効果」
血液型別性格判断は、科学的根拠が乏しいとする意見もまた結構有名だったりする。
後で紹介するが、一言で言うと根拠が「すげぇ雑」。捏造と言われても仕方がないレベルで。
まぁとにかく、血液型の性格判断が科学的根拠が乏しい、という話は、それを信じている人も、信じていない人も恐らく聞いたことはあるはずだ。
だが、実際に血液型別の性格判断を見てみると、「当たっている」と感じてしまうものだ。
A型の人は、几帳面
B型の人は、自己中心的
O型の人は、大雑把
AB型の人は、二面性がある(あるいは二重人格とも)
血液型のサイトによっては細かく各血液型の性格的特徴が書いてあったりするが、まぁ大抵は上記のようなイメージだろう。
大体の人間は、
不潔よりは清潔な方がいいし、
(内面的には)自分を主として物を考えるし、
どうでもいいことには大雑把だし、
機嫌のいいときと悪いときじゃ様子が違うものだろう。
要するに、全部の特徴に「そう思おうとすればそう思える」要素がある。
こういった「誰にでも当てはまること」を「自分のことを示している」と感じる現象を「バーナム効果」と呼ぶ。
もう一個サンプルを。
バーナム効果の名付け親、心理学者のバートラムフォアが行った実験。
以下の文章を学生に読ませ、「どれだけ自分に当てはまっているか」の評価をさせた。
※
あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。
正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。
しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。
あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。
あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
※
評価方法は、
0 = 全く当てはまらない
5 = 非常に正確
までの段階的評価。
残念ながら何人の学生にこの実験をしたのかのデータが見当たらないが、平均点は「4.26」だった。
つまり殆どが「かなり当てはまる」と感じたことになる。
ここからが重要だが、上記引用の文章は「星座占いの文章を組み合わせたモノ」だった。
元から曖昧なモノの、そのキメラだ。
つまり文章全体で見れば、本来何か表現しようとしたものではないし、ましてや誰に向けられたものでもない。
それなのに「自分に当てはまる」と多くの者が感じたことになる。
まとめると、バーナム効果と呼ばれる心理学的現象により、適当な誰にでも当てはまる情報を「自分のことを示している」「自分のことを分かっている」と勘違いする、ということ。
バーナム効果は占い、セールスなどに使われまくっている。
◆
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◆「予言の自己成就」
それでも血液型別性格判断が実際に当たっている場合がある。
全くぴったりに血液型通りの性格、というかキャラクターの人間。
これは後天的に作られる。
大多数が「そうだ」と認識して行動した結果、間違いが本当になってしまう現象だ。
これのせいで(つまり偽情報を信じる者が多かったせいで)昔とある信用金庫が潰れかけた。海外では倒産した会社もある。
多くの人間が血液型の性格判断を信じている。そんな者達の言動を「浴びた」者達もまた、その影響を受ける。
確証バイアスによって該当する箇所のみがピックアップされ、そうであることを期待され、そう扱われるということは「お前は血液型通りの人間だ」という洗脳となる。
自分はこういう人間だ、と思ったら、まぁその通りに振る舞うだろう。
押し付けられた場合、相手は肯定か否定の二択しかない。
その通りになるか、正反対になるかだ。
これにはかなりエネルギーが要る。
その上前述の通り今でも4割は信じてる。
人に出会う度に血液型を聞かれ、いちいち何かをする度に「あの人はあの型だから」と言われれば、そのうちその通りになる者も出るだろう。
特にアイデンティティの確立に四苦八苦する10代あたりには、血液型別性格判断は「毒」となるだろう。
つまるところ、血液型別性格判断の通りの人間がいたとして、別に当たっているわけじゃない。
あなた達がそうしたんだ。
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◆血液型別性格診断が「当たっている」と思う人達へ
そろそろ卒業しないか?
たしかにそのままで居続ければ楽だろう。
「そういうこと」にしてテンプレに押し込んでしまえば安心だろう。
でもそうやって楽をした分、嫌われている。
そりゃそうだ。ロクに相手を見ずに決めつけているんだから。
それに加えて「人を見る目」は全く育たない。
そりゃそうだ。初めから見ちゃいないんだから。
ABOの性格分類の真偽よりも、それに頼って決めつけて、自他共に「そういうこと」にしてしまうことが問題だ。
周りの人間を、変な決めつけをせずにちゃんと見てみたらどうだろう。
案外避けてた相手が良い奴だったり、ヤバい奴がすぐ隣にいるかもしれない。
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