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嫌われない、呆れられない「質問の仕方」とは?
・特に仕事においては自分から質問しなきゃいけない場面というのもある。きれいにお膳立てして必要な知識と技術を全て伝えてくれてから本番、というのはなかなかないだろう。
・「自分から質問する」ことのハードルは人それぞれ違う。単純な思いつきで速攻聞く者も居れば、困り果てているくせにそれでも聞けない者もいる。
・どういった時に、どんな「聞き方」をすれば無難なのかを知れば、前者は自重でき、後者は行動に移れるのではないか。
■目次
■聞かれる側は何が嫌なのか
■ダメな聞き方
■無難な質問の仕方は?
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■聞かれる側は何が嫌なのか
・元から質問はあまり歓迎されることはない。口では何と言った所で。
例外は聞かれる側が「言いたいこと」を質問した時。だがそれは質問する側の聞きたいことではないことがほとんどだ。
・ではなぜ質問はあまり歓迎されないのか。
■身についた知識ほど言語化ができなくなる
・相手がベテランであればあるほど初心者の質問には答えられなくなってくる傾向がある。
暗黙知、すなわち身についた知識(その場所での常識レベルのルールも含める)は無意識レベルで理解しており、逆に言語化するのが難しくなってくる。
これを説明する論文があるので引用。
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ゴルフ のパットを例にして,素人とエキスパートの言語的意識 の違いを指摘した.パットを打った直後に,自分が身体 部位をどのように操作して打ったかを語らせると,プロ の言語量は素人に比べてかなり少ない.
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つまり「慣れたこと」は説明しにくい。本人からしてみれば説明のしようがなかったりする。
例えば箸やペンの持ち方を「言葉だけで分かるように教えてくれ」とか言われたらうんざりするだろう。
・もう一つ大事な点がある。
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更に興味深いこ とに,シャフト部分を変形した奇形パターを使わせてパ ットを行った後に言語化させるという追加実験では,プ ロの言語量は著しく増加し,素人を遥かにしのぐという 結果が得られている.
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つまり「普通」が身についているからこそ、違和感を察知しやすい。
「いつもと違う」「普通じゃない」点にはベテランはすぐに気づけるわけだ。
このようにベテランには確かに経験があり、実力がある。だが、「アタリマエがアタリマエ過ぎて説明するのが難しい」場合がある。
・他人に上手に教えるというのは、そのスキルに対する知識の他に「教えるスキル」が必要になってくる。大抵の場合、教える側はそんなもの身につけるくらいなら自分の仕事をやる。教えるのが仕事じゃない限りは。
■時間泥棒
・もう一つの大きな理由は時間が取られるということだ。どちらかと言うと体感時間の話になる。
根本的に他人の都合で自分の時間を使っている場合、現実よりも長く感じるものだ。
加えて何が聞きたいのか分からなかったり、説明が長かったりしたら尚更苦痛に感じる。
何より、誰もが自分の予定、自分の仕事をやらなきゃいけない。それを「止められる」のはストレスだからだ。
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■ダメな聞き方
・残念ながら、元から質問は嫌がられて不思議じゃないことだ。その上で聞く側の態度や理由がふざけたものだったり、聞き方が下手だったら尚更不快に感じる。
・わかりやすくするために「酷い例」を挙げる。
■出来るようにしてくれると思っている/聞くだけでできるようになると思っている
・要するに、理解するつもりがない。汲み取るつもりがない、頭を使うつもりがない態度。
やってできなくて、何も考えずに話を聞いて、もう一度やってみれば出来ると思っているタイプ。
それでできなきゃ教えた側の所為にする奴もいる。
■丸投げするか押し付けるつもり/できるようになる気がない
・「ここ、わかんないですけどー」って聞き方する奴。一日に何度も。
案の定、同じことを何度も聞いてきたりする。
断られると速攻で別の人に声をかける。仕事してる時間より歩きまわって「やってくれる人」を探してる時間のほうが多い。
■何が聞きたいのか伝わってこない
・丸投げタイプと似ているのだが、なんか必死に聞いてくるんだけど何が知りたいのかさっぱりわからないタイプがいる。
また、なるべく多く情報を引き出そうとしているのか、分かる所も分からないフリして聞いてくるタイプもいる。
これらはかなり「漠然とした質問」になる。
質問者の「知りたいポイント」が伝わってこないから、答える側は初めから最後までを説明しなくてはいけなくなる。
これはかなりめんどくさい。毎回これでは苦痛だ。
ついでにいうと、初めから最後まで説明された所で聞いてる側はまず理解しない。受け取る情報が無駄に増えるので、その幾らかは必ずこぼれ落ちる。
これは確実にお互いのためにならない聞き方だ。心当たりがあるなら改めたほうが良いだろう。
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■状況説明が長い
・しっかり自分の疑問点や状況を伝えようとするのは良いのだが、頑張りすぎて話が長い。文章書くならともかく、会話でそれは辛いものがある。
前述の通り答える側はさっさと答えて自分の仕事に戻りたい。
・もしも「説明」の途中で「今忙しいから後でね」と言われることがよくあるならこれだろう。
■一度教えてもらったことを忘れてまた聞く
・教える側からしてみれば、前回教えてやったことは全て無駄になる。時間も手間も我慢もだ。
これを踏まえた上でもう一度親切丁寧に教えてもらえると思うのなら、まぁ相当偉いんだろう。王族かな。
■何も予習してこなかった
・予想される状況だったのに対処しなかった、あるいは「必要になるから勉強しておけ」と言われたのに全くやってないタイプ。
まぁ人によっては時間外労働みたいに感じて意地でもやらないとかもあるみたいだが。仕事中に勉強出来ることは少ないだろうしね。
その是非はともかく、その結果として分からないことがあって困っているわけだ。
答える側からしてみれば「自業自得過ぎて放っておきたい」と言う気持ちになる。
特に予め忠告したのにやってなかった場合は尚更だ。
見方次第では「サボったツケを他人に払わせようとしている」ようにも見えなくもない。
■聞くタイミングが間違っている
・自分が困る→知ってる人に聞く。一見何の問題もなさそうに見えるが、逆の立場で考えてみようか。
こちらが何をやっていようと自分の都合で「割り込んで」質問してくる奴。そりゃ嫌われるだろう。
また、説明したり教えてる時には頷いているくせに、いざ本番となったら「あの時のアレはどういう意味ですか!!」とか聞いてくるタイプ。なぜその場で聞かなかった。自動操縦で頷いていたのか。
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■無難な質問の仕方は?
・「上手な聞き方をすれば何でも何度でも教えてもらえる」とか思っているのなら、それはありえない。
実際の所はどうであれ、相手は「我慢して教えてくれている」と思っておいたほうが身のためだろう。
・ベースとなる考えは「相手の立場になって考える」というものだ。この場合は「答える側」。
「覚えるつもりで質問しろ」
「詳しく知ってはいるが、だからといってわかるように教えられるとは限らない」
「できるようになるつもりはあるのか?」
「理解するつもりはあるのか?」
「何を知りたいのかまずしっかり言ってくれ」
「なるべく時間を取らないでくれ」
「メモは取れ」
「お前のために割いてやった時間を無駄にしないでくれ」
「予習はしてこいよ」
「こっちの都合も気にしてくれよ」
とまぁ、こんな感じになる。
・論外である「できるようになるつもりがないタイプ」は放っておいて、上記を「じゃあどうするか」にまとめよう。
■聞かなきゃいけないことかどうか
・冒頭でも書いたが、パラダイム(価値基準)の違いにより、聞くべきかどうかのラインが人によって全く違う。
個人の価値観での基準ではなく、状況で判断したほうがいい。
知らなければ仕事に支障があるのなら、それは知る必要がある。ただ、知る方法はマニュアルを読んだり、検索したりと別の方法もあるかもしれない。
・質問するということは相手の時間を奪うことだ。一問一答でもない限りは。どの道、「真っ先に選ぶ手段」ではない。
「自分で調べたり考えるよりも聞くほうが早い」といけしゃあしゃあと言う連中がいるが、これは「働かなくても強盗すればいいじゃん」と言ってるのと同レベルだ。
■メモは取ること
・これはマナーだと思ったほうが良い。聞くときのマナー。
聞くのは最終手段に近い以上、同じ状況に陥るべきではない。同じ質問をするような真似は避けるよう努力するべきだ。
・ところで、「仏の顔も三度まで」と言う言葉、あれは勘違いしている人がいるが、「三度目は許さない」と言う意味である。
まぁ、仏がそれなら人間じゃあ一回が限度だろう。私無神論者だが。
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■やってもらうつもりはアウト
・当たり前だが。例え新入社員であろうと、そのうち出来るようにならなければいけない。
仮にできないことを大目に見てもらえるとしても、それは猶予期間だからだ。いつまでもそれが続くわけじゃない。
自分の仕事をできるようになるつもりがないというのなら、ただの給料泥棒だ。
まぁ仕事の割り振りがいい加減で出来るわけがない仕事が来ちゃったりすることもあるかもしれないが。
その場合に聞くべきは「どういうつもりなのか」になるな。
■手早く済ませるためにも質問することをしっかり整理すること
・前述した「範囲が広すぎる聞き方」はかなり嫌がられる。その逆をやろう。
具体的な質問文が浮かんでこないのだとしたら、根本的に知識や経験が足りてないことになる。これは予習不足か、手に余る仕事を任せられたかのどちらかだろう。
どこがわからないのか、自分は何を知らないのか、それを説明する言葉を準備してから質問すること。
■時間を取らないこと
・時間はリソース(資源)である。他人のリソースを自分のために使わせることになるのだから、手早く済ませるようにするべきだ。
前述の「答えやすい質問」を準備するのはもちろんのこと、「3分だけ時間をください」みたいな前置きをすると意外と協力的に教えてくれることが多い。
こうやって時間を予め宣言することで「どれだけ時間が取られるのか」「話をそろそろ切り上げなければ」といった心配事を相手がしなくて済むからだ。
面白いことに協力的すぎて3分は余裕でぶっちぎることも多い。相手自らが。
■聞かずに済むように心がけること
・聞かなきゃ仕事ができないというのなら、少なくとも知識に関しては自分の立場と比べて不足していることになる。
そうなるとやっぱり、出来る限り予習はするべきだろう。
人によっては社畜っぽくてヤダとか言うかもしれないが、自分のためになることも確実だろう。
自己投資としてでも自分の立場を守るためでもいいから割り切ってやったほうがいい。
■「しつこさ」は極力無くす
・同じこと聞くのもそうだが、不安だからと何度も確認をしてきたり、それを頼んだりするのもかなり迷惑だ。
特に「不安な人間」は確認作業を何度もする傾向がある。それが「聞く事」だった場合、相手の迷惑は計り知れない。
それが「普通」の人間もいる。家を出る時に何度もカギを閉めたか確認するとか。まぁこれは病気なんだが。
余計なおせっかいかも知れないが、自分の仕事の出来が不安な上に自分で判断もできないというのなら、少しでも
メタ知識を得るように、知っていることの分析なり考察なりをした方がいい。
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まぁぶっちゃけて言えば普段はそんなに気にしなくていいだろう。
ただ、質問することに対して「なんとなくうまくいかない」「後味が悪い感じになる」と思っているのなら、工夫の余地はある、という話。
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