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睡眠不足について

睡眠不足について

 




 





◆脳機能の低下

睡眠不足のマウスは青斑核のニューロンが25%減少されていることがペンシルヴァニア大学と北京大学の共同研究で発表されている。
 
青斑核(セイハンカク)。覚醒、注意、情動(急速な感情)に関わる。脳の話は基本めんどくさいから端折るけど、どうも「緊張状態」と「リラックス状態」をスイッチするような作用があるらしい。緊張状態のスイッチを入れる機能があるって言ったほうが正確かもしれない。
 
自閉症の人間は青斑核周辺の機能不全らしい。興味深いことに発熱するとここが活発になり、自閉症の症状が和らぐという仮説がある。熱を出すと症状が和らぐこと自体は前から言われていたそうだ。・・・平熱の高い低いって割りとキャラに関係してる気はするな。平熱高いとうるさそうとか。
 
また、アルツハイマー病は青斑核周辺のニューロンが最大で70%失われているとのこと。要するに寝不足に依る認知能力低下はアルツハイマー体験版みたいなものってことになる。それの2~3倍ひどい状態がアルツハイマーだと考えれば、まぁ辛いだろうね。
 
アルツハイマーも睡眠不足に依る能力低下もあまり自覚がないのも共通点か。「無気力」「物忘れ」などが初期に出るが、「今日は調子が悪い」程度で片付けられがちだ。長期間これが続くようなら睡眠時間の見直しか、まぁ、医者に行ったほうが手っ取り早いか。
 




◆睡眠不足に依る諸症状は寝れば治る、ことはない可能性

・長年に渡る睡眠不足だと脳が縮む。まぁ結構有名な話か。この上で「その分後で寝ればいい」で片付けられがちだが、そうじゃない可能性がある。
 
確かにマウスの実験などで睡眠不足にさせて脳を調べ、その後睡眠を取らせてそれが回復したことを確認した話はあるにはある。が、人間の場合「綺麗に元通り」にはいかないかもしれない。
 
・少なくとも睡眠不足状態になってから、三日間十分な睡眠をとっても正常には戻らなかったという人間を対象とした研究結果がいくつか挙げられている。
 
三日以上も治らないとしたら、睡眠不足による機能低下は「不調」で済む話ではなく、「怪我」や「病気」、「異常」に近いのではないか。
 
現実には、平日無理をして土日に寝溜め、というスタイルの生活を送る者も多いわけだが、それだと「何か」が進行していく可能性があることになる。
 
そもそも動物と人間の脳は結構な違いがある。例えば渡り鳥は「飛びながら左脳と右脳を交互に眠らせる」という器用な真似をして何日も飛び続ける。最も長距離を飛ぶ渡り鳥としてキョウクアジサシという鳥がいるが、「年間7~9万km」を飛び続ける。北極と南極を行き来してるんだとか。
 
で、正直脳みそ半分だけ眠らせて動き続けていられるなら羨ましいってのが大半の意見だと思うが、人間の場合脳が複雑化しすぎて不可能だそうだ。脳と体の比率も違うし、脳の使い方だって違う。未来を悲観して死ぬなんて人間だけだろう。
 
脳の発達具合も使い方も違うということはその休息、補修、整理である睡眠の質も内容も人間と動物とでは違う可能性があるということだ。ネズミがそうだからと言って「じゃあ人間も大丈夫だな!」というのは軽率なのだと思われる。サルもオッケーだったらワンチャンあるかも知れんが。
 
薬には頼りたくない、というのはよく聞く声だが、薬の副作用より睡眠不足のほうが長期的には怖いのかもしれないね。
 




◆睡眠と体内時計

無理して早起きしても、朝日を浴びれば目が覚める、わけじゃないらしい。
 
なんでも「翌日の」朝が楽になるだけの話で、その日一日は地獄っぽい。
 
このせいか、サマータイム導入国はその地獄の一日とその後である「切替期間」の死亡事故と心筋梗塞での死亡者数が跳ね上がるそうな。
 
要するに、朝日を浴びても頭は寝不足のまま。市民や国民単位でこの状態になればそりゃあ死亡事故も心筋梗塞も増えると。習慣をコロコロ変えるのは得策じゃないって誰でもわかると思うんだが。
 
逆を言えば寝不足は元から死亡事故や心筋梗塞の遠因となり得るということでもある。
 
「朝日を浴びて体内時計をリセット」というフレーズは、拡大解釈の誇張である可能性が高い。また、前述の翌日の朝が楽になるという話、一日しか効果がないらしい。
 
つまり、「夜型を改善して朝型に」というのはこれだけじゃ無理。
 
ちなみに本来夜型の人間が朝型生活を続けることは可能ではあるが、以下の点で辛いらしい。
 
1:「体質」は変わらず、一生しんどい状態が続く
 
2:体内時計が夜型にずれる力が朝型よりも強い=夜型に戻りやすい
 
3:以上の理由で心身の不調を引き起こしやすい
 
加えて言えば、朝型夜型診断のサイトによれば、朝型と夜型の数はほぼ拮抗している。人間3割は潜在的に夜型である。
 
まぁ、早起きだけが取り柄の人間のマウンティングに振り回されずに自分のペースをまず見つけたほうが良いだろう。「朝の1時間」と「夜の1時間」は価値が違う。そして何よりその価値は「人によって違う」ことを知っておいたほうが良い。
 

◆「寝たくない」根本的な理由

寝る時間だけどねたくない、と感じる人は結構多い。色々理由はあるが、睡眠不足の根本的な問題は、私達は大抵「何かせずにはいられない」点だ。基本じっとしていられない。
 
調べた中でも過労が原因で自分から退職したのに速攻で復職して過労自殺した者だとか、誰かに何かを強制されるわけでもない立場なのに過労と睡眠不足でぶっ倒れただとか、「自分から倒れに行ってる」話は枚挙にいとまがない。
 
消極的な人間にも焦燥感はあるし、この場合大抵は頭の中でなんかやってる。つまり、人間はじっとしていられないし、余計なことを考えずにはいられない性分だ。
 
本当の意味で「休息」を取るのはもう動けないから「仕方なく」であり、休憩時間は自由に動き回り、休日は好きなことをやり、休息を取るとしたらその後だが、大抵は頭か身体のどちらにせよ「自由に動きまわることに忙しく」、その間に自由時間は終わる。
 
自分が怠け者ややる気のない人間だと自認するものは少なくはないが、彼らにしたって「暇人」であることは決して認めない。生産性がどれだけ低かろうが、知ってる限りありとあらゆる人間が「自分は忙しい」あるいは「自分は大変な問題に取り組んでいる」と思っている。
 
これではパフォーマンスが落ちるのは時間の問題だろう。「回復」しないのならば力尽きるのは早いか遅いかの問題でしかなくなる。
 
どうも睡眠とは「後回しすることすら出来ない必要なこと」のようだ。優先順位をもうちょっと上げたほうがいいのだろう。気分的に難しいけどねぇ。
 




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