決めた時間にスッキリ起きるスキル:自己覚醒法
スキルなので道具は使わない。
どうも一部の人間は天然で体得しているようだ。
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◆概要
やることは、寝る前に起きたい時間を3回唱えるだけ。
根拠は、その時間に対応したタイミングでコルチゾールが分泌されるから。
効果は、その時間に自然と目が覚めること。
このスキルは鍛えることができる。
自己覚醒のメリットは、日中の眠気予防、日中のパフォーマンスの上昇。
デメリット、危険性は多少ある。原因は不慣れであることによる心因的なもの。
普及率は海外では多い。50%ほどとされている。
◆寝る前に起きたい時間を3回唱える
方法は結構どうでもいい。3回唱えるじゃなくても。ただ、後述するコルチゾールというホルモンがでるタイミングを「言葉で指定できる」とされているため、3回唱えるのも有効になる。
自己覚醒については研究とかも探せば結構あったが、「3回唱える」と限定しているわけじゃない。「この時間に起きる」と心に決める、というだけ。「方法は被験者に任せる」なんてガバい研究もあった。
要点としては「起床時間を強く意識するだけでいい」ということ。尤も、人間はシンプルすぎると余計な工夫をしまくってダメにするんだが。隠せてない隠し味みたいな。
◆その時間に対応したタイミングでコルチゾールが分泌される
・コルチゾールとは
副腎皮質ホルモン。朝の行動エネルギーを捻出する。
抗ストレスホルモンしても知られる。戦ったり逃げたりのエネルギーを捻出する効果があるが、度が過ぎると脳を萎縮させることが知られている。
起床にまつわるコルチゾールの分泌は、コルチゾール本来の役割と見ていいだろう。今回に限っては有害性は気にしなくていいと思われる。
とんでもないことに、このメカニズムは「言葉がわかる」んだそうだ。だから、頭で言葉で「●時に起きる」と言うだけでも効果がある。本能、無意識、深層意識と呼び方は様々だが、これらは大体は言葉はあまりわからずにイメージなら通じるっていうのが多い。
例外なのか、他にももっとあるのか。もっとあるならアファメーションとか自己暗示も真実味が出て来るのだが。
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・起床の流れ
起床1時間前からコルチゾールが分泌される。厳密に言えば、脳からの副腎皮質刺激ホルモンを受け、副腎がコルチゾールを分泌する。ちなみに副腎とは言うものの、腎臓とは独立している。重要な点だが、「起きようと決めた時間の1時間前」にこの現象が発生する。寝れるだけ寝て自然に起きるというのとはこの点は違うようだ。
(副腎皮質刺激ホルモンはストレスに拠っても分泌され、ストレスを緩和させることに繋がるとされている。このメカニズム自体が“朝気分よく目が覚める”効果を持っていると言っていいだろう)
以上の結果として、睡眠状態の脳波が弱まってくる。
起床の30分前頃には脳の血流が増加し始める。
自律神経が活発になる。身体の「起きる準備」が整う。
逆を言えば、スッキリと起きるにはこれだけの手順が必要だ。ここらへんをぶん投げてアラームで「叩き起こす」一般的な日常は(強制覚醒)、まぁあんまりよろしくないのだろう。
◆その時間に自然と目が覚める
自己覚醒が出来ると申告した人間を対象に、普段起きないような時間を指定して起きれるかどうか確認した実験では、精度は指定した時間のプラスマイナス30分程度にまとまったらしい。
個人的な経験で言えば誤差は指定時間前の5~10分程度。子供の頃は数秒前だった。
◆このスキルは鍛えることができる
続けていれば精度が上がってくる。起きる時間は固定されていたほうが望ましい。
三日目くらいから効果が実感できるとされている。
一週間で8割くらいの人間は成功するという実験結果もあった。
自己覚醒においては動機づけ、つまり本人の自己覚醒に対するモチベーションが高いと習得スピードが早いことも示唆されている。ただ、モチベーションはポジティブなものでなければならない。成功したら何らかの報酬を自分に与える、とかがいいだろう。
「罰」だと逆効果になる。緊張し、寝入りが悪くなり、眠りも浅くなる。これから寝るってのにプレッシャーを与えるのはやめよう。
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◆自己覚醒のメリット
朝どれだけ眠ってもすっきりしないのは、睡眠慣性と呼ばれる現象が原因としてあげられる。これは脳の覚醒度が低い状態のために眠気が残ったり、気分が優れなかったり、言動が冴えなかったりする現象。これは「どれだけ寝ても起きる」。
自己覚醒の場合には身体が準備してから目がさめるのでこの症状に対して有効となる。
日中眠くならなくなる。本来は日中の眠気もまた「どれだけ十分眠っても」発生するらしい。10時間眠ってもダメだったという実験結果もある。が、それが減る。ただ、血糖値の上下など日中の眠気には他の要素もあるので確実ではないが。少なくとも減るだろう。居眠りも減るとされている。
ただ、これは自己覚醒が「習慣化されたら」の話だとされている。効果が出るのは大分後だ。要するに身体が馴染んだら。恐らく自己覚醒だけの話ではなく、「習慣化されペース配分が安定した24時間」を習得した結果なのだろう。えらく簡単に言ってしまえば「規則正しい生活を続けていれば調子がいい」と。耳にタコだな。
「どれだけ寝ても日中眠気を感じたり朝すっきりしないということはありえる」点は重要だろう。普通こういった経験をした場合、睡眠が足りなかったからだと解釈するが、睡眠は足りていて別の要因で発生している可能性もある。
以上をまとめると、「朝スッキリ起きることが毎日続けば日中ずっと頭が冴えている」とも言える。もちろん睡眠不足などのマイナス要素で帳消しになる余地はあるが。ん~まぁ、早起きするのが趣味の人間がよく言いそうなことだ。もうちょっと掘り下げてみようか。
早起きというのは、まぁ早く起きるわけで、「別に寝過ごしたって時間的余裕がある」。とても気楽に自己覚醒に挑戦できる環境だ。
また、早起きそのものに価値を感じているタイプは「この時間に起きよう」とする意欲も高いと思われる。アラームを使っているのだとしても、心理的には自己覚醒を行っている状態と言えるだろう。なにせ1時間前に副腎皮質刺激ホルモンが出てさえ居れば、その一時間後の起き方って割りとどうでもいいんだし。
また、早起きそのものに何らかの価値を感じている場合、モチベーションも十分だといえる。自慢できるからとか。余談だが、早起き自慢の人間に「早起きして何をするの?」と聞くとだいたい言葉に詰まる。個人的な経験ではジョギング目的以外なら100%うろたえる。結構多いと思われる。
で、彼らからよく聞くのが「その時間になれば勝手に目が覚める」という発言。つまり、自己覚醒している。尤も、それが身についた理由が今回紹介しているような最初からその時間を狙って自分から起きようとするものなのか、長年繰り返したことに拠って身体が覚えたことなのかは別れるだろうが。
あと、彼らは朝っぱらから元気である。これも一致するね。
要するに、早起き人間のアドバンテージが(擬似的な)自己覚醒に依るものならば、「早起きのメリット」だけを自分が起きたい時間に持ってくることができる可能性がある。「自己覚醒だけすればいい」からだ。その恩恵に与るためには早く起きる必要は別にないってことになる。面白いね。
◆自己覚醒のデメリット・危険性
強く意識しすぎることが前提となるが、緊張して入眠が遅れる、途中で目が覚めるなど、簡単にいえば「睡眠の質が落ちる」ことが昔から報告されているようだ。だが実験によれば一週間程度の継続でこれらには慣れるとされている。まぁ、ぶっつけ本番じゃ逆効果だと考えればいいだろう。
逆に自己覚醒が習慣化されている場合、このようなデメリットは見られないともされている。尤も、変な時間に起きようとさせた場合にはやっぱり症状が出るようだ。やはり心理的な要素、緊張に依るものだろう。この場合、自己覚醒ができる(できた)人間でも前述の日中の眠気、朝が気だるいと言った症状も発生する危険がある。
見方を変えればアラームは「その時間に起きれる」という保証であり、それを手放すならばまぁ、緊張しても不思議じゃない。
以上から、アラームは設定するべきだと言える。ただし、スッキリと目覚めたいならばそれは「保険」として。あるいは最終防衛ラインというか。この上でそれより早い時間を狙って自己覚醒に挑戦するのが良いだろう。
後は単純に睡眠時間が足りてなきゃ日中眠くなる。あたりまえだが。朝スッキリ目が覚めて、速攻で眠くなると言った残念なことにもなりかねない。これについては「自己覚醒の効果を睡眠不足が台無しにしている可能性がある」とする説もある。
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◆自己覚醒法の普及率
海外では21~81歳の内50%が日常的に自己覚醒しているとのこと。・・・だがまぁ、社会人と隠居生活じゃ朝起きるプレッシャー違うからなんとも。別の説では年齢に比例して自己覚醒の成功率が上がり、その理由は熟練に依るものとするのがあるが、これも「気楽に取り掛かれるかどうか」の影響は大きいかもしれない。
日本では自己覚醒法を日常的に行っている者は大学生が10%、65歳以上が75%だそうだ。境目が学生・社会人か定年かで別れてて、このデータに何の価値があるんだかよくわからん。まぁ大学生でも1割は日常的にやっている、というのは結構大きいのではないだろうか。
繰り返しておくが、一週間くらいでそこそこモノになるスキルだ。年齢差に依る違いは「アテにする気があるかどうか」や「起床に対するプレッシャー」だと思う。あと睡眠時間を含めたライフスタイル全般。
◆メモ
自己覚醒の存在から以下のことが言える。
1.自律神経、本能、無意識と言われるようなモノの一部は口にした、あるいは頭の中で思った「言葉を理解して実行する」
2.それは体内時計ではなく客観的な「時計の時間」を理解、あるいは想定した動きができる
3.これら無意識的なシステムの一部は鍛えることができる。鍛えたほうがいいものも、鍛えないほうがいいものもあるだろう。
また、コルチゾールが出るシステムが「言葉がわかる」というのが興味深い。元より
決断疲れや
ストレスによる心身の悪影響に対して「気にする人間にだけ発生し、気にしない人間には発生しない」傾向が挙げられているが、これは自分の思考や物事の捉え方に反応した脳内物質が出ているからではないか。
◆文中のリンク
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