なぜうつ病になるのか:ストレスによる脳の変化
・うつ病になる根本的な原因はストレスにあるとされている。
・強いストレスに曝され続けると脳がダメージを負う。
・うつ病患者には海馬を始めとした萎縮が見られる。
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ストレスが限界までたまるとうつ病になる
・これについてはよく「コップに入れられた水」に例える話を見かける。
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「うつ」とは、コップに水を注ぐようなものだ、と表現される事があります。
ある程度までは、普通に水は入る。満杯になっても、少しずつ入れれば(我慢すれば)、表面張力で、実際の容量より少し多めに入る。しかし、限界を超えると、一気に水が溢れ出し、止まらなくなる。水が溢れ出したら、自分ではもうどうしようもないのです。
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・加えて言えば、その「コップ」の大きさは人によって違うとされている。
なぜストレスでうつ病になるのか
・ストレスを感じると、副腎皮質ホルモンである「コルチゾール」が分泌される。これは人体に必須なものだし、炎症や痛風、急性白血病等の治療にも用いられるものだ。
・だがストレスによりコルチゾールが多量に分泌されると脳の記憶を司る「海馬」が破壊され、萎縮することが分かっている。
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心理的ストレスを長期間受け続けるとコルチゾールの分泌により、海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。
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・物理的に観測できる形でうつ病患者は海馬の萎縮が確認できる。
・これは長引けば長引くほど萎縮していき、記憶障害の可能性も出てくる。
うつ病患者には脳の他の部分にも変調がある
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今回行われた研究は、うつ病の脳を調べる研究では過去最大規模。世界7カ国、計65の医療施設で15の研究のために撮影された、約9000人の脳の3次元MRI検査の画像を集めて解析を行った。このうち1728人は大うつ病性障害と診断された人、7199人は健康な人だった。うつ病と健康な脳の検査画像を統計学的に比較した。
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・この結果、海馬はうつ病歴がながければ長いほど萎縮していることが判明した。
・うつ病患者は扁桃体が小さいことが判明した。
・側脳室が大きいことが判明した。
・尾状核も小さいことが判明した。
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うつ病と扁桃体
・扁桃体は情動反応(比較的急速に沸き起こる感情)の処理、記憶に於いて重要な役割を担うとされている。
・仮説であると前置きされてはいるが、うつ病の原因は「扁桃体が活動しすぎる」ことではないかという説がある。
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扁桃体の刺激は副腎という臓器に伝わり、副腎がコルチゾールというストレスホルモンを出す( asahi.com , 健康フォーラム )
「危機に対処しなければならない」ということで、副腎から意欲ホルモンであるノルアドレナリンが放出される
「今は落ち着いている場合ではない」ということで、癒しホルモンであるセロトニンの放出を抑制させてしまう
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・ここで「扁桃体が常に活動する=コルチゾールが出すぎる」と言う図式が成り立つ。
・鬱病の症状である睡眠障害、不安感なども納得がいくだろう。安らぐべき時でも緊張状態だからだ。そしてそんな状態が続けば慢性的な肉体的/精神的な疲労感もまた当然となる。
うつ病と側脳室
・側脳室との関係は正直分からない。というのも側脳室自体は脳脊髄液が溜まっている「空間」であり、脳機能自体があるわけではないからだ。
・脳脊髄液(脳漿)もまた、廃液に近く、ただの水分調節や形を保つとしか書かれていない。
・ただ、双極性障害(要するに躁うつ病)での調査では側脳室を中心とした広範囲が「拡大」しているのが判明している。
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対象となった患者さんの数は全体で3,509名、健常者の数は4,687名でした。解析の結果、双極性障害の患者さんの方が健常者よりも脳室が有意に拡大しており、側脳室全体が117%の拡大、右の側脳室が112%の拡大、第三脳室が113%の拡大でした。反対に、有意に小さかったのは、脳梁の93%の縮小であることが分かりました。
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・同じく双極性障害が対象の調査で脳の高信号領域(MRI検査で何らかの異常がありそうな部分)が多くの箇所で見られた。
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高信号領域の出現においては、双極性障害の方が健常者より有意に多く、全体では3倍、深部白質では2.5倍、皮質下灰白質では2.8倍、左半球では4.1倍、右半球では5.6倍、前頭皮質では6倍、頭頂皮質では6.5倍でした。
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・以上のことから察するに、「脳全体がダメージを受けている」と思われる。
・側脳室の拡大に話を戻すが、
①何らかの理由で側脳室周辺が拡大した
②全体的に脳が萎縮した結果「空間」が拡大した
のどちらかではないだろうか。
さらに①のように他の場所が萎縮せずに側脳室だけ拡大したのなら脳圧が上がることになる。こうなると通常、高血圧だとか脳梗塞などの問題が出てくるのだが、実際に調べてみるとうつ病での高血圧は在り得る。また、脳梗塞が原因でうつ病と同様の症状が出ることも在り得るらしい。
②は実際に扁桃体が萎縮しているので一見納得されるかもしれないが、実際には扁桃体はかなり小さい。
一方側脳室はかなり広範囲にある。
以上のことから扁桃体だけでは説明がつかない。だが、他の部分で体積的に大きな萎縮というのも見当たらない。
・①が真だとすると、「うつ病になると脳圧が上がるため脳梗塞や高血圧などの他の病気の原因と成り得る」ということになる。特に脳や血管関係のだ。
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リチウムの服用は、灰白質の体積を増大させましたが、深部白室の高信号領域には影響を与えませんでした。したがって、このメタ解析の結果からは、脳室拡大は罹患期間に伴うものではなく、おそらく発症時点で存在しているものと考えられます。
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・要するに双極性障害の発症以前に脳室が拡大し始めているのでは、と言うことらしい。順番としては、
①ストレス
②脳にダメージ
③うつ病の発症
ということになる。
・うつ病は脳がダメージを負った結果であるとするならば、うつ病への対症療法よりも根本的な原因(ストレス)への対策の方が重要になる。
うつ病と尾状核
・前述の調査ではうつ病患者は尾状核という部分も小さかったことが分かっている。
・抗精神病薬を投薬されている患者は、そうでない患者に比べて尾状核が大きかったらしい。つまり薬で食い止めることが出来る。
・尾状核は学習と記憶に重要な役割を持っていると考えられている。
・尾状核の場所は、扁桃体の真上にある。
・扁桃体の画像と並べるとよくわかると思うが、扁桃体と尾状核は繋がっているように見える。
・機能としても学習や記憶と扁桃体と同じだ。もしかしたら、ストレスに対しての「覚えたくない」「感じたくない」といった目的で萎縮するのだろうか。
まとめ
・ストレスを受け続けると脳が変質を始める。
・特に学習機能/記憶に関する部分にダメージが見られる。
・うつ病の症状が出る前に脳にダメージを負っている可能性がある。
・うつ病になると血管や脳の他の病気のリスクが上がるかもしれない。
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