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「サンクコストの見誤り」 またはコンコルド効果

「サンクコストの見誤り」 またはコンコルド効果



・凄く簡単に言うと、「今まで支払ったコスト(人、モノ、金、時間など)が勿体無くて引き際を間違える」と言う心理。認知バイアス。









コンコルド効果(コンコルドこうか、Concorde effect、Concorde fallacy)は、心理現象の一つである。コンコルドの誤り、コンコルドの誤謬、コンコルド錯誤ともいう。


サンクコストの見誤り

・サンクコストは「埋没費用」と訳される。意味は「どうあってももう取り戻せないコスト」のこと。

例えばあなたがかなり高額な、一週間くらいの豪華な海外旅行に行ったとしよう。自腹で。自分へのご褒美だね。おめでとう。

ところが残念なことにクソつまらなかったとする。それはもう絶望的に。

この場合、旅費や一週間の休暇を確保した労力、旅行が始まってからつまらないと気づくまでの時間はもう戻ってこない。

では旅行2日目でどうあがいてもつまらないと気付いた場合、人はどうするか。

大抵の場合、きっとこの後楽しい物が見られると思い、1週間そのままだ。ついでにお土産も買うだろう。

これらは自分の支払ったコストに対して何らかの見返り、価値があったということにしたい心理である。予言の自己成就に似ている。


要するに、「楽しむつもりでコストを支払ったのだから楽しまなきゃいけない」と考える。

・ちなみに旅行が楽しかったとしても、時間も金も戻ってこないのでこれらのコストはサンクコストとして扱う。

・つまり本来はコストに対しての何らかの価値が有るかどうかで判断するべき所を、「既に支払ったコストがもったいないから」という理由で価値が無いことを続ける心理。




別名「コンコルド効果」

・この場合のコンコルドとは、超音速旅客機コンコルドのことである。イギリスとフランスのメーカーが共同開発した。

1960年代、マッハ2(つまり音速の2倍=約時速2000キロ)のスピードや当時から見たら先進的なデザインで世界各国から注文が相次いだ。

残念ながら自慢できるのはスピードとデザインだけだったようだ。

旅客機コンコルドの問題点

  • 燃費悪い
  • 開発費も維持費もかなり高い
  • 既存のものより長い滑走路が必要(運用のためには使う所が限られるか、新しく滑走路を作る必要がある)
  • 凄まじい騒音と衝撃波で住民から苦情が相次いだ結果、旅客機なのにかなり限定された航路(海上など)しか飛べない
  • 客は100人くらいしか搭乗できない
とまぁ、旅客機としての実用性が在るかどうかといえばダメだった。

世界各国からの注文もキャンセルが相次ぎ、ボーイング747などにシェアは奪われ、トドメにオイルショックが来た。



このまま続けたらやばい。でもやめたくない。

・どう考えても幸先が悪い。責任者たちは「このまま開発を進めたらどうなるか」を試算した。

結論は「今すぐ撤退しないと、違約金と賠償金を支払ったほうが圧倒的にマシだったレベルの大赤字になる」というものだった。

・「じゃあ止めよう」、とはならなかった。今までの時間、労力、金、全てがゼロにするのは惜しかったらしい。何より絶望的な損害の責任を誰が取るのかという問題が有った。

結局のところ、プロジェクトは止まれなかった。試算通りの大赤字の結末に向けて進み続けた。

あなたに気付いてもらいたい点としては、確実に赤字になると試算されているところだ。つまり続けたところで一切希望はない。どうにかなるわけじゃない。どうあがいても、どうにもならない。それが分かっている上で続けてしまった。これはそういうことだ。

・ちなみに作成されたのは原型機が4機、商用機は16機。250機作れれば元が取れたという話なので、どれだけの赤字か想像できる。

・一般人にはデザインや高スピードのせいか人気があったらしい。2003年11月26日のヒースロー空港着陸を最後に全機が退役した。

・コンコルド効果についてはFX会社の公式サイトですら説明されている。大きな金額が動くこのような投資、つまり重要な選択ですらバイアスが働く。


このような資産運用や経営などのビジネス関係でサンクコストは取り上げられることがある。だが、最初に旅行の例を挙げたように個人としてみても非常に身近なものだ。


例えば買い物のために遠出して、目当ての物がなかったら。あなたは手ぶらでそのまますぐに帰れるだろうか?

全てのバイアスに言えることだが「自分がそうなっているとはなかなか気づけない」。


まとめ

・大抵の人は何かを始める時には決断力、行動力が必要だ。つまり何かを始めた時点でそれら心理的なエネルギーをコストとして支払っている。

そして、一度動き出したタスクに対して「立ち止まる」「やってきたことを中止にする」ということにも決断力、行動力が必要だ。

その上でコンコルドのように「今まで支払ってきたコストがもったいない」という心理、そして「失敗だったと認めたくない・責任を取りたくない」心理が働く。

・要するに、個人も組織も立ち止まる/引き返すのが苦手である。

・理想的な行動選択は、埋没費用を無視して最善を選ぶこと。まぁ難しいだろう。

・ギャンブルで負けてる人間ほど金をつぎ込むのもこれだろう。

・「もったいない」という言葉、実はロクでもないものなんじゃないか?





◆関連リンク
認知バイアスとは(親ページ)




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