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「やる気を出す方法」が上手くいかない理由。外的と内的、2つの「動機」とやる気(モチベーション)の関係

「やる気を出す方法」が上手くいかない理由。外的と内的、2つの「動機」とやる気(モチベーション)の関係




・大抵の場合、行動力があるものは成功することが多い。これは優秀かどうかではなく、単純に「挑戦回数」の違いだ。寝る間も惜しんで研究を続けたエジソンが分かりやすい例だろう。

人間が行動に移る際、そしてそれを継続して行っていく際に求められるやる気、活力、要するに「モチベーション」はその者がどのような「動機/理由」でそれを行いたいのかにかなり左右される。

巷にあふれる「やる気を出す方法」は2つの動機の内の1つについての話しかしてないことが多い。
具体的に言えば、殆どの「やる気を出す方法」は「やれ」と言われた、または「やらなきゃいけない」と感じている外的なモチベーションから内的なモチベーションを「無理やりひねり出す」方向を向いている。
だからこれらは大抵「根性論」で終わるか「考え方次第」という結論で終わる。

根性の有無は関係ない。やる気を出すためには「理由」と「やること」が上手くつながっているかどうかだ。
だから「考え方次第」と言うのは正しいのだが、無理やり前向きに考えて頑張ってもうつ病かなんかにその内なるだろう。もうちょっと上手いこと「動機」を「やる気」に繋げたい。

そのためにはまず自分の理由、つまりは「動機」の質を見極める必要があるだろう。

§目次:

◆内的な動機 「それをやりたい」
◆外的な動機 「これをやらなきゃいけない」
◆「外的な動機」を「内的な動機」に再解釈する
◆なぜ「自分がやりたいはずこと」の方がやる気がでないのか
◆アンダーマイニング効果
◆「自分の理由」を見つけること
◆まとめ




◆内的な動機 「それをやりたい」

まずは一つ目、内的な動機から。
これは自分がやりたいという「内側からの」動機。
まぁ「欲」と言ったほうが正確だろう。
この内「使命感」「義務感」「責任感」などは除く。これらは外的な動機になる。

好きな物事に対しては時間を忘れ、集中し、いつまでもやっていられる。大抵の場合は経験があるだろう。
問題はそれがゲームだとか、漫画を読むだとか、数時間愚痴を吐いて友人や家族を死んだ目にさせるとか、ギャンブルだとか、大抵の場合は自動的にそんな「やる気状態」になって、尚且つそのやる気が向く先は大して生産性がないかロクでもないかという点だ。

内的な動機から湧くエネルギーは何時間もそれに没頭できるほどに強い。強いが、対象が本人の好き嫌いに依存しすぎていることが問題となる。
だからまぁ、ノウハウ系の話になると「仕事を好きになれ」とかなんとかそういう話になるわけだ。

重要な点として、内発的動機で「やり遂げた」場合、それは強化される点が挙げられる。
達成感、充実感、それらを感じさせる脳内物質が分泌され、言い方がアレだが「中毒」になる。
また好きな分野で何かやり遂げたい、そんな考えを発生させる。
ハマる、自信がつく、そんな言葉で表現される現象だ。
以上から自分にとって生産的である「やること」に対しての動機は内的なものであることが望ましい。

が、現実には一日の「やること」の殆どは何らかの形で強制されている。
わかり易い例だと「期限」がある。たとえ好きなことでもそれまでに「やらなきゃいけない」ことになるからだ。


また、単純に他人から依頼された時点でも何らかの責任が発生し、それは外的な動機になり得る。

これら「外的な動機」は達成しても「なんとかなった」と言う気分が強く、充実感や達成感が少ない。

これが「つまらない繰り返しの毎日」、そして「趣味を仕事にするとつまらなくなる」事の原因だ。



◆外的な動機 「これをやらなきゃいけない」

外的な動機はやらなかった/できなかった時に他者から罰を受けるかもしれない、といった「恐怖」や、前述した「使命感」「義務感」「責任感」といった「他者を意識した内的な動機」を含める。

「報酬」と言う要素も他者が絡むので外的な動機となる。

やらなきゃいけない理由そのものが他者により与えられたものであることも少なくない。

仕事においてはほとんどそうだろう。

大抵は何らかの強制力があり、「強迫」の属性を帯びる。
外的とは言うが、自ら作り出す場合もある。潔癖症や完璧主義なんかはそれの極端な例だ。これらは「強迫」性障害と呼ばれている。要カウンセリング。

また、子供だってこれは変わらない。大抵の人間は子供だった時に親にこう聞いたことがあるだろう。

「どうして勉強しなきゃいけないの?」

返ってくる答えは親の質によるだろうが。殆どの子供にとって勉強が「苦痛」であるのはやる意味(価値)がわからないからだ。だから好きな教科だけは良かったりする。「好きだ」と言う内的な理由があるからだ。

だが初めから「やらされる」以上好きになる余地はあまり無い。子供からしてみれば強制労働に近い。

アインシュタインを始めとして、学校やら義務教育やらを嫌っていた「偉人」と呼ばれた者たちも結構いる。
It is a miracle that curiosity survives formal education.
好奇心が型にはまった教育の後に残っていれば、それは奇跡である。
ーアルベルト・アインシュタイン
だが、現実に社会に出てからは「外的な動機」だらけになる。「やらされる」ことに慣れておくのは一概に悪いとは言えないだろう。

話を戻すが、そういった勉強嫌いな子供だって好きなことには熱中し、大人が勝てないレベルになることも珍しくない。

大抵の大人は子供とポケモンの知識で勝負したら負けるだろう。…一説によると大学生が一番詳しいらしいが。

とにかくこれは、内的な動機が際限なく成長させる可能性を秘めていること、そして大人に勝ちうるポテンシャルを秘めていたとしても、外的な動機に対してはほとんどやる気が出ず、作業も捗らないことを示している。後述する「アンダーマイニング効果」がわかり易い例だろう。




◆「外的な動機」を「内的な動機」に再解釈する


・まぁ、自分のやるべき理由を見分けるのは簡単だろう。
「やりたい」と思うのが内的な動機。
「やらなきゃいけない」と思うのが外的な要素に起因した動機。

これは初めはやりたいと思っていたことがいつの間にか義務感を感じ、「やらなきゃいけない」と思いだしたら苦痛を感じ始めるということでもある。

◆なぜ「自分がやりたいはずこと」の方がやる気がでないのか

・内的な動機は良いものだが、致命的な弱点がある。
「諦めてしまえば何もしなくていい」という点だ。「強制力」に関しては外的な動機(圧力)に軍配が上がる。

・既にエネルギー切れを起こしているような状態だとこの「諦める」という選択を行い、エネルギーを温存する傾向がある。

大抵の場合、強制力の高い「外的な動機」による義務で疲れ果てており、このエネルギー切れの状態は多い。

尤も、体力配分は重要だ。疲れ果てている状態で好きなことに過集中するようだと生活がめちゃくちゃになる可能性はある。
なのでこの「諦め」にはある程度価値はある。無意識的な自己防衛だと思っていいだろう。無意味に自分を攻める必要はない。



◆アンダーマイニング効果

アンダーマイニング効果とは、内的な動機で何らかの努力をしているものに対して「報酬」を約束すると作業効率が低下する現象を指す。

一見自分で頑張っている上に報酬ももらえるのならもっとやる気が出ると思うだろうが、現実には大抵モチベーションが下がる。

ここまで読んだならもう分かるだろう。これは「内的な動機」が「外的な動機」にすり替わるからだ。「エサをちらつかせる」という形の。それに対しての反発心もあるだろう。

報酬を約束した者は「応援」のつもりなのだろうが、その応援が、やる気を奪う。頑張っている者に対して何かしてやりたいのかもしれないが、出来ることなんて何もない可能性も考えたほうが良い。

また、「罰」でも同様の低下を示す。こっちは特に説明はいらないか。何で自らやると決めたことに対して脅されにゃならんのだ。

アンダーマイニング(undermining)は「弱体化」「土台を台無しにする」と訳されている。

もう察していると思うが、このように内的な動機は外的な動機にシフトすることがある。しかも結構あっさりと。

◆それをやる「自分の理由」を見つけること

ならば、逆もまた可能なわけだ。外的な「与えられた理由」を自分のためになる「自分がやりたい理由」にシフトさせる。

例えば仕事に対してやる気がないとしたら、別に金のためで良い。欲しいものを買いたい、老後のため、旅行に行って豪遊したい、なんでも良い。あなたの「欲」で良い。

つまらない仕事だとしても、少なくともそれをやれば自分はその会社にいても良い、という理由にはなる。他者承認欲求だって内的な動機になりえる。

また、内的な動機とはあなたのための「あなたの理由」だ。他人に説明する必要なんて全くないし、ましてや理解されなきゃいけない理由なんて無い。
だから何かの練習だとしたら「やりたいから」「できるようになりたいから」で構わない。

とにかく「外的な理由」ではなく、「内的な理由」を見つけよう。あなたは「あなたの理由」で動くのだ。外的な理由じゃなく、あなたは内的な理由で動き、その結果他人が勝手に得したり助かったりするだけだ。そこら辺はどうでもいい。

また、見方を変えればモチベーションを保つ方法もまた見えてくる。
「外的な動機」=「やらなきゃいけない理由」を意識しないことだ。「自分がやる理由」に集中する。これに尽きる。



◆まとめ

大抵の外的な動機はほとんど「やらなきゃいけないこと」だったりする。断ってOKなケースなんて稀だろう。どうせやらなきゃいけない。

外的な動機のままやっても、なんというか充実感がない。そんなことが続くと何もかもがうんざりしてくる。どうせ同じことをやるなら内的な動機を見つけた方が得だろう。

結局のところ、「考え方次第」何ていうつまらない結論なんだが、現実にほとんど気の持ちようみたいなもんなんだからしょうがない。

あなたにはそれが「できる」ということは覚えておいてもらいたい。



◆文中のリンク
「承認欲求」:心理学

行動力と挑戦するべき理由

「自分はすぐに諦める」:ツァイガルニク効果
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