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休日に上司からの連絡は違法(罰則あり)



休日に上司からの連絡は違法(罰則あり)

最終更新:2017/05/08


仕事が休みの日に上司から仕事の内容で電話連絡が来るのは、現実には割りとよくある話だが、違法であり、罰則がある。
本当は電話に出てやる筋合いもないし、メールの返信義務もない。

便利さが裏目に出て、「上司からのLINEが嫌でたまらない」という人も多い。

ちなみにパワハラが原因での自殺者などは、日常的に「業務時間外の呼び出しや連絡」があったケースが多い。

◆目次

・事例
・休日に上司から電話がかかってきたらどう思う?
・実害
・法的には?
・罰則は?
・反ストレス法
・なぜ経営者は法律を守らないのか
・現実的には?
・「LINEをやれ」と言う圧力も
・なぜそんなにしつこいのか?
・感想

§事例

・上司から緊急性のない内容の連絡が頻繁に来る。
・長電話やメールの返信の強要。
・ターゲットが特定の個人ではなく誰に対してもというケース。

・休日に呼び出し。慌てて会社に行ったら「あれどこに置いたっけ?」「あのこと伝えてたっけ?」と電話で済む話だった。
・大抵の場合、下らない用事で連絡してくる側は「そこまで嫌がられること」だとは分かっていない。

また、それがその職場の「自然体」だった場合は就業規則などは改めて確認しておいたほうがいいだろう。記載されていなければ違法。









◆休日に上司から電話がかかってきたらどう思う?

休日、上司からの連絡に対してどう思うかのアンケートがあったので引用。



休日に「上司から頻繁な電話」、あなたならどう対応する?

喜んで対応する
 
2.7%
仕方なく対応する
 
47%
ブチ切れる
 
19.2%
上司の上司に相談する
 
19.4%
その他
 
11.7%


https://www.j-cast.com/kaisha/2014/02/28197951.html?p=3より引用


八割方不愉快に感じていて、ブチ切れるか相談するかも結構な数いる。

喜んで対応は、なんだろうね。必要とされているのが嬉しいとか?

その他も想像付かない。藁人形とかだろうか。
順当に考えると居留守を使うとかかな。


§実害

◆休日気分が電話一本で潰されるストレス。

内容や上司の人間性にも依るだろうが、一度嫌な気分になればそれが一日続くことは多い。

◆時間が潰される。

大抵の場合、何らかの確認や「あれはどこにあったっけ?」という下らない事が多いようだ。
その場に入ればさっさと片付くかもしれないが、電話越しだと手間がかかることも。

◆スルーすると翌日絡んでくる。

これ、上司が自己愛性人格障害か境界性パーソナリティ障害なんじゃないだろうか。
と、言いたいところだが、「休日でも電話に出て当たり前」という空気が社内どころか世間にもある。
言ってるのは大抵中年以上だからポジショントークだろうけれど。

◆過労死事件のほとんどの事例では時間外の電話やメールが頻繁にあったそうだ。

・予想外に命に関わってきた。
・調べてみるがわかると思うが、過労死事件で被害者の勤務形態では、異様な残業時間も目立つが、「休日でも呼び出される」というのもある。

1998年 関西医科大学 研修医過労死事件では、土日だろうが関係なく時間外に頻繁にポケベルで呼び出されていたようだ。






§法的には?

◆日本では労働基準法により、既に時間外の業務連絡が違法となっている。

・労働基準法では、これらの行為は「休日出勤」と同じ扱いになる。加えて時間帯次第では「時間外労働」にも。

使用者が労働者に対し、時間外労働や休日労働をさせた場合には、通常の労働時間または労働日の賃金の2割5分以上5割以下の範囲内で命令の定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(労基法37条1項)。


割増率は、時間外労働については2割5分、休日労働については3割5分と定められています(平6.1.4政令第5号、割増賃金令)。

http://www.jil.go.jp/rodoqa/01_jikan/01-Q09.html


労基法33条や36条に従って適法な時間外・休日労働がなされた場合の他、違法な時間外・休日労働についても、使用者が割増賃金支払義務を免れないことはいうまでもありません(昭63.3.14基発150号)。


また、労基法上の割増賃金については、労使で支払わないものとする合意をしても、そのような合意は労基法13条により無効となります(昭24.1.10基収68号)。

http://www.jil.go.jp/rodoqa/01_jikan/01-Q09.html





◆罰則は?

お待ちかねの「時間外労働に関する労基法に於いての罰則」だが、一般的なケースとして「休日または時間外に業務連絡の電話などをした場合」とすると、前述の引用に引っかかる。

加えて深夜時間帯だった場合には、

また、使用者が、午後10時から午前5時(地域・期間により午後11時から午前6時)までの間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
http://www.roukitaisaku.com/zesei/batsu.html


これについての罰則は「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となっている。

まぁ実際は罰金がほとんどだろう。

・ポイントは内容が「業務連絡だったかどうか」になるらしいが、詭弁というかなんというか。

さっきも言ったが、電話でないと絡むこともあるし、そもそも上司が相手なら電話に出なくちゃならないと思うのも自然だろう。

そもそも上司が自分の電話番号知っているのは「業務に必要だから」であり、そうじゃないのだとしたら「個人情報の私的利用」になるのではないのか。

別に友達じゃないだろう?
自分から教えたにしてもそれは「仕事に必要になるだろうから」だったはずだ。

まぁこの話は上司と個人的な知り合いだった場合には破綻するのだが。
実際には仕事とプライベートはいくらか混ざっていることが多いし、後出しで「お前と友達じゃないし」とか言ってグダることもありそうだし、牽制のネタぐらいにしか使えないだろう。

個人情報漏洩も六ヶ月以下の懲役または三十万円以下の罰金らしい。
個人情報保護法の全面施行に伴い、個人情報取扱事業者は法の定める義務に違反し、この件に関する主務大臣の命令にも違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が課せられます。

加えて、漏えいした個人情報の本人から、漏えいによる被害や、実被害が無くても、漏えいしたという事実による損害賠償民事訴訟のリスクが発生します。

http://www.nec-nexs.com/privacy/explanation/penalty.html



・ちなみにサービス残業をさせることもこの罰則なのだが、「罰金払ったほうが安い」というクズな理由で世間にサビ残が蔓延しているのだとか。泣き寝入りも多いだろうしな……。
・なんか労基が本気出せばブラック企業根こそぎ潰せるんじゃないかという気もするな。本気出せば。
実際の所は相談が殺到していて処理が追いついていないらしい。






◆職場が36協定の届け出をしている場合

サンロク、じゃなくてサブロクなんだってさ。

36協定は「時間外・休日労働に関する協定届」と言う。簡単に言うと、「残業や休日出勤するよ」という会社と労働組合との契約書。これを労働基準局に提出しておくこと。

どうも一般的な「週五日、8時間の労働」より多い場合、届け出してなければそれだけで罰則対象のようだ。
まぁ現実には56%が入っていないらしいが。経営者って法律守らないな。



・これに職場が加盟している場合、休日や時間外労働(ここで言う電話やメールの応対を当然含める)は「有り」にはなるのだが、当たり前だが給料は発生する。


・時間外でも業務連絡ができて当たり前だと強制するのなら、全ての時間が待機時間とし、その分の給料を払わなければならない。当然22時から朝の5時までは深夜割増で。休日も然り。

ちなみに宅配ピザの料金の殆どは配達スタッフを常に待機させる人件費らしい。
宅配ピザが高いのは36協定ちゃんと守っている証拠。


◆海外で進む「反ストレス法」

・ドイツでは「反ストレス法」としてこのような迷惑行為を禁止する動きがある。

・規模としてはノルトライン=ヴェストファーレン州政府で提案されているだけだが。
内容としては、時間外の労働者に対しての電話やメールを禁止する、というもの。
またドイツが誇る自動車メーカー、ダイムラーも、休暇中のメール受信を自動返信とともに削除するシステムを導入するなど、ワーク・ライフ・バランスの向上に取り組んでいる。

・フランスでは2014年春に経済団体と労働組合の間で業務メール禁止協定が結ばれた

フランスではこの春、経済団体と労働組合の間で、勤務時間外の業務メールを禁止する協定が結ばれたというニュースが報じられた。

スマホなどの普及で、いつでもどこでも業務メールが押し寄せてくることへの弊害を踏まえた措置だとか。

・2017年、フランスで勤務時間外の仕事関連のメール受信を拒否する法的な権利が労働者に与えられた。

英BBCの報道によると、今年1月1日以降、従業員数50人以上の企業に勤務する労働者には、「勤務時間外の仕事関連のメール受信を拒否する」法的権利が与えられることになる。

・まぁ、法的に保証しない限りは連絡しようとする悪質な経営者がいる証拠でもあるが。

・そもそも海外の労働者達の場合、日本みたいに「嫌だけど我慢する」みたいなことがあんまりないらしい。

中国じゃ上司に誘われて飲みに行ったら残業代を請求するケースもあるんだとか。見習いたいね。

・有給休暇にしたって、前述のフランスは100%消化されるそうだ。日本はかなり低い。言うまでもないね。

実は韓国もかなり有給休暇の消化率が低いという話がある。消滅時効に至っては日本の半分、つまりは1年だそうな。

でも韓国の有給休暇は消化しないならその分買い取ってくれるらしい。日本の消化率の低さとは事情が違うだろう。

2017年に発表された世界幸福度では日本は155カ国中、51位だった。細かい所を掘り下げていけばもっと落ちると思う。

・逆を言えば、この件に関しての日本の現状は、立場的な弱者の泣き寝入りの上にバカが調子に乗った結果「これで当たり前」との常識(法律違反)が生まれた、とも言える。

調子に乗る方はもちろん悪いが、バカは自分じゃ治せない。どうせ治す必要性も感じちゃいない。
調子に乗らせないように警戒したり釘を刺すことも自衛のためには必要だろう。



◆なぜ経営者は法律を守らないのか

・サービス残業をやらせることは、企業からしてみれば「罰金のほうが安い」というクズなメリットがあることからやりたがることは理解できる。

だが、気楽なつもりの電話一本で一日分の給料を支払わなければならない可能性が発生するとしたら、どう見てもメリットがない。

むしろ経営者は役職持ちに「時間外や休日に電話をするな・メールを出すな」と、社員には「電話に出るな・メールに返信するな」と徹底してもおかしくはない。
だが現実にはそれは見られない。なぜか?

バカげた話だが、法律を「知らない」ケースがかなり多いらしい。
日本の企業は、個人事業者を含めれば99.7%が「中小企業」だそうだ。

この中には「立場は雇用者」だが、「雇用のド素人」も多く含まれる。
二代目や三代目の社長だっとしても、自分で勉強するか親に聞いてなきゃ知らないだろう。

後から知ったとしても、今まで問題なかった分、「別にこのままでいいか」と悪びれもないし気にもしない可能性は高い。

つまるところ、彼らは責任を果たさないかもしれないし、その自覚もない可能性は存在する。






◆休日は拘束時間外の場合。

・本当はメールの返信すらしてやる義務はない。

・電話に出てやる義理もない。





◆時間外での呼び出しをありとする就業規則がある場合は合法となるが、当然給料を会社は払わなければならない。

・ただでさえ費用対効果を気にする世の中だ。実際に就業規則に載っていて、カネを払わなければならない場合、こんな上司は上から注意されるだろう。

・就業規則を社員がいつでも見れるようにしていない会社もあるらしいが、指導が入るレベルで悪いことのようだ。

・【就業規則は労働基準局に届けるもの】らしい。届けてあるとおりにしていない=アウトと言う認識でいいか。

◆内容/頻度次第では【パワハラ】になり得る。訴訟も可能。

・精神的苦痛、時間外や休日に連絡があった時間の記録、その分の給料の請求など。

・実際に訴訟をおこす場合、内容の録音(緊急性のない用事だという証明)とその頻度を記録(しつこさ・異常さの証明)。

・言動が一貫していないと訴訟の際、信用されない。うろ覚えだとどうしてもブレてくるのでそれの防止のためにも。






§現実的には?

◆立場は向こうが上。些細な事で抗議をしたら今後に影響があるかも知れないというリスクがある。

◆苦情処理機関・或いは上司の上司にそれとなく苦情を入れる。

・前述の通り合法とは言い難いので、責任者は対応しようとするだろう。
「社内規定にある」としても、その分の給料は支払わなきゃいけない。

・会社単位で問題だと思わない場合はもう転職考えるか諦めるくらいしかやることがない。

◆「休日は忙しい」アピールをして連絡を無視する正当化をしておく。

・途端に無難な話に。なんだか悲しい。だが出来る範囲での自衛はするべきだろう。

§「LINEをやれ」と言う圧力も

上司からの「休日LINE」

・手軽に連絡できる分、迷惑なことも多い。

・上司や同僚からのLINEが来ただけで一日嫌な気分になるという意見も。

・仕事関係の内容だった場合、対応した時間は労働時間とみなされる可能性はある。
これに対して賃金を支払わない場合には労基法違反と成り得るらしい。

・実際には、前述の「気楽さ」がネックとなりグレーゾーンな状態だそうだ。
裁判の前例もないらしい。

・立ち位置の関係上、些細な連絡でも返信義務を感じることにより「パワハラではないか」という声は高まっている。

・「いつでも連絡できるように常時繋げておけ」という社内規定があったとしても、すぐに違法とはいえないようだ。

「勤務時間外に常時LINEのメッセージを受信できる状態にすることや、受信した場合に返事を送ることを義務づけたとしても、ただちに法定労働時間の規制が及ぶとはいえないでしょう」

https://www.bengo4.com/c_5/c_1224/n_1959/


「宿直勤務」としての例外が既にあり、そうとして扱われる可能性がある、とのこと。
ただしこの場合特別手当は請求できる。





§なぜそんなにしつこいのか?

上司がおかしい可能性について

・休日に連絡をしてくる上司に対しては、「よほど暇なんだな」「頭が悪い」「無能」「友達いないのか」などの声が多くある。
連絡される側からしてみればかなり憎いようだ。

ワーカホリック

・ワーカホリック(仕事中毒)の症状の1つに「休日も仕事のことが頭から離れない」というものがある。こういった人間は平気で休日に連絡をしてくる。

・「要セラピー」レベルの異常とのこと。

「ゲーム」

ストローク飢餓の人間が他人に仕掛ける、交流分析で「ゲーム」と名づけられたものがある。強制的なコミュニケーションで相手を振り回す反生産的社会交流とされている。大抵相手は不愉快な思いをして終わる。

簡単に言うと、誰にも構ってもらえないから人に嫌がらせして強制的に自分の相手をさせようとする。

・上司からの連絡をスルー出来る部下はあまりいないだろう。
上司と部下の関係は、立場上「ゲーム」がかなり成立しやすい関係だ。
つまりほぼ確実に「相手をしてもらえる」。
飢えている人間は飛びつくだろう。

これは「注意のひったくり」であり、「時間泥棒」でもある。


参照:
ストローク飢餓:http://embryo.blog.shinobi.jp/_page/258

承認欲求

他者承認欲求、つまり「他人にこう思われたい」と言う欲求で些細な事でも連絡してくる可能性。

・特に上位承認欲求=自分が上だと思わせたいと言う欲求を抱えている場合、他人の自由・権利を奪う、または何かを強制すると言うのは、彼らは真っ先に思い浮かべる。
実行するかどうかは人間性による。

・理性が働かず、常識も見えなくなる程になっているのなら要カウンセリングだろう。
価値観が元から腐っている場合もあるが。

・あまりにもどうでもいい連絡であり、しつこいようならばこういった「相手をしてもらえる」「自分の存在をアピールしたい」ということに対しての中毒になっているかもしれない。

脳の仕組み上、人間は何に対しても中毒に成り得る。

参照:

罪悪感が一切ない

・前述の通り時間外の連絡は違法である。だが、殆どの企業がそれを守っていない。
知らないのか、黙認しているのか。いずれにせよ、組織としての浄化作用または抑止力がない。

過労死事件などを調べているとよく見かけるが、法律よりも「この業界ならこれで当たり前」という頭の悪い常識の方が大抵優先されている。


これに加えて、残業や休日出勤などを「勤勉」として評価する傾向が日本にはある。
殆どの場合、海外ではこれらは「無能」の証明とされている。

実際、本来は定時に仕事が終わらないのは管理職の問題になるんだが、日本でどうかというと…。
何れにせよ、本当に優秀な人間なら必要な連絡、質問は労働時間内に片付けるべき、というのが海外の大体のイメージなようだ。


・実際に勤勉アピールとして無駄な残業や休日出勤をやっているものは少なくないだろう。あるいは単純にカネのため。

ドイツと比べて見ると、勤務時間は日本のほうが多いが、生産力では圧倒的にドイツが勝っている。つまりは日本の労働はかなり効率が悪い。

こんなだから日本全体が「無能な働き者」だとする声もある。


あなたが見たことがあるかどうかは知らないが、残業をしている・休日出勤をしている上で「暇そうにしている」奴らは実際にいる。


要するに、上司はそんなやつで、実際にヒマだから連絡してる可能性はある。適当な口実(つまりはくだらない要件)で。







§感想

・立場を傘にやりたい放題やっている奴相手ならパワハラとして対応するのも可能だろう。


・会社的にもこういった上司を放置することは法的なリスクが伴うし、電話一本で次の出社までの数十時間分の給料を要求されてはたまったものではないだろう。

だが前述の通り経営者が法律を知らないことがある。もし知っているのなら相談すればいいが、そうじゃないとしたら…。

・まぁ一番手っ取り早いのはやはり「アイツ休みの日は全然電話に出ねぇ!」と認識してもらうことか。







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