■確証バイアスとは
一言で言えば、「はじめに結論ありき」。
童話で言えば、何かを信じ込んでそれを事実として振る舞う「裸の王様」。
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■はじめに結論ありき
はじめに結論があり(先入観)、それを肯定する要素のピックアップ、否定する要素のフィルタリングが無意識レベルで行われる。
また、情報収集の仕方に影響を与え、先入観を強化できる材料の収集、否定する要素への無視、あるいは敵対的、感情的な否定をする。
■■自分の意見を強化するための材料だけを集める
例えば、朝食を食べるのと食べないのとでどちらが健康に良いのか悩んだとする。
サイトでの情報収集や書籍を購入して読むなどしたとしよう。それも大量に。これだけ読めば答えにかなり近づけると思えるだけの量を。
この時点でサイトの選び方、本の選び方に確証バイアスが出ることが多い。
そうなった場合、無意識レベルで既に決定している結論を補足する情報を集めただけに終わる。いくら情報を集めても。
反対意見の情報は読み飛ばすか、元から選ばない。
これは「知りたいことしか調べてない」と言える。そして誰だって大抵そうであることに気づける。つまりは確証バイアスは恐ろしいほどに身近なものだ。
結果、望み通りに初めに出した結論は「強化」され、本人の中では「真理」に近いものとなっていく。
フラットに見れるだろう「全く興味のない分野」を見てみると、意見が真っ二つに別れる論争は、完全に宗教戦争のような「信じるか信じないか」の争いになっていることが多い。殆どが確証バイアスのせいなんじゃないだろうか。
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■■自分の意見と違うものは目に入らない
確証バイアスに陥ると、自分の意見にそぐわないものは黙殺、あるいは「間違い」だと決めつける傾向が高まる。
黙殺の場合、「マイノリティがなんか言ってる」的な扱いをする。
間違いだと決めつける場合には相手が間違っていて自分が正しいことを証明しようとするが、根拠と結論がつながっていない。
だが、本人はそれで証明できたと思っている。
つまりは確証バイアスに浸かっている人間と、そうじゃない人間とではパッと見、区別しづらい。
相手が馬鹿なこと言ってやがる、と思っている側が確証バイアスに浸かっている可能性もある。
あまり批判や指摘は意味が無いだろう。
それを「違う」と指摘されても受け入れられない、と言うか理解が出来ない状態だと思ったほうが良い。
例えばあなたは今モニターを見ているわけだが、そんなあなたを見た人に「なんで真っ暗なモニターずっと見てるの?」と言われたら。
相手が何言ってるか理解が追いつかないはずだ。
本人にとってはそれくらいの青天の霹靂である。
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■偏見、差別、決めつけがエスカレートする源
確証バイアスは、先入観を強化するように働く。
例えば確証バイアスが世界観規模で働いている場合、本人にとっては世界は「そう」であり、大抵の場合「諸悪の根源」がいて、「それを倒せば」「全ての問題が解決する」という思考になる。
これらは元から本人が持っていた偏見、差別、決めつけを更にエスカレートさせ、タチの悪い事に周囲に「感染」することもある。
「集団」になってしまえば、まぁ最悪の場合「戦争」くらいにもなるかもね。
ヒトラーが何考えてたかは知らんが、少なくとも取り巻きの何人かはこんな状態だっただろう。
■多くの認知バイアスがこれに類似している
数が多いのでざっと。
ハロー効果:肩書が立派だと言うことも立派だと感じる
アンカリング:対象の評価が「第一印象」に引きずられて歪むこと。先入観じゃないだけ確証バイアスよりはマシだろうか。
コンコルド効果:今まで支払ってきた時間やカネがもったいなくて引き際を間違える現象。「やめたくない」から「やめなくていい」と信じられる材料を探す。
サバイバーバイアス:生存者は「正しいから生き残ったのだ」と思い込むバイアス。「成功者」に対しても当てはまる。成功者本人もそう勘違いしている場合もある。
成功者の自伝をマニュアルにしても大抵成功しないのはこれが理由。
数十万部を超えるベストセラー!!とか言うけれど、それ読んで真似しただけで成功した人間がその中から出たのかね。
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■確証バイアスの悪影響
碌でも無い。
■■人の話を聞かなくなる
結論はもう出ているので、それに対する指摘は聞かない。
これに限らないが、人間はどうも一度決めたことを後から変更するのが苦手な傾向があるように思える。
■■話が通じない
はじめに結論があり、その材料を集める。
これは論理的思考とはプロセスが正反対であり、他人が聞いたらガバガバの理屈であることがある。
だが、それを指摘しても「そうだよ、だから正しいじゃないか」というリアクションが返ってくる。
話が通じないというか、理屈が通じない。滅多にここまでなることもないが(大抵は一度引き下がり、また思い込みを強化して戻ってくる)、たまにいる。
感情論、特に「感じたことは本当だ」という理論の持ち主には注意した方がいい。感情は平気で誤発動する。
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■■「最悪のケース」を「実現」する可能性
多くの人間がそう信じたために、偽情報が後から事実になることを指す。
特に心理的な現象、代表的なのは
うつ病だが、自分はそうだと思い込めば、うつ病じゃなくても後からうつ病になるだろう。
アメリカで心理学者が「一日1000回ため息をつく」という実験を自ら行ったという話がある。
うつ病になったらしい。
■■勘違いでの殺人
ところで、平賀源内は知っているだろうか。
江戸時代の発明家で、エレキテルの復元やうなぎ屋に頼まれて「土用の丑の日」という概念を生み出した。キャッチフレーズを考えるのがうまかったらしい。
正月におなじみの「破魔矢」の考案者だとする話もある。
そんな彼の最期は「獄死」だったとされている。
懐に入れておいた仕事の計画書がない、お前が盗んだんだとその日泊まっていた知人達に詰め寄り、相手二人を斬った罪で投獄。
ちなみに計画書は自分の帯の間から出てきたそうだ。
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■裸の王様
童話の「裸の王様」は、「馬鹿には見えない服」を着ていたつもりだったわけだが、確証バイアスの場合「馬鹿にしか見えない服」を着ていると表現できる。
童話ではラストで子供が指摘するのだが、現実ではどうだろう?
前述の通りこの状態では相手の意見は受け入れられないし、何より誰もが自分の着ている「服」が「馬鹿にしか見えない服」である可能性を持っている。
「お前が裸じゃねーか」と言われるリスクを考えるなら、多分指摘してくれる人は少ない。
最期が平賀源内のように「間違いだったという圧倒的な現実」に潰されるラストにもなりかねないだろう。
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