なぜうつ病を「恥」だと思うのか
従来のうつ病の場合、うつ病を恥だと思う傾向がある。
もっと広げてみてみると、メンタルクリニック、心療内科、精神科に行く所を見られたくない、なんて声もある。
なぜ……と問う前に、現実にそういった「空気」が存在していることは認めなくてはならないだろう。
だからこそ近所に知られたくない、職場に知られたくない、との声は多い。
現実には恥じることはないのに、こう言った偏見により我慢し続け、苦しみ続ける者がいる。
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うつ病は誰もがなるかもしれない。恥じる必要はない。
うつ病は疾患であり、誰でもかかりうるものです。一見、メンタルが強そうに見える人だってうつ病になることはありますし、精神科医でさえうつ病にかかることはあります。内科医でも風邪を引くことがあるのと同じです。誰にでも発症しうる「病気」なのに、かかったから「情けない」というのは、明らかにおかしな感覚でしょう。
しかし現実には、「メンタルクリニック」と言う名前も偏見のせいで患者が通いづらいために改名したと言う経緯がある。
それなのに恥だと思う。
例えば自分は血糖値が高いだとか、肥満だとか、そういったことはおっさんでもおばちゃんでも平気で自分から口にする。
こちらのほうがよほど自己管理ができてなく、恥だと思うべきものだ。
1型糖尿病だったら仕方ないが。
一方うつ病の場合、「他者からの加害行為」の結果であることもある。
同情に値しない理由ももちろんあるのだが。
それでも、「うつ病だから」というだけの理由で恥じる必要は無いだろう。
それなのになぜ、「恥」だと思うのか?
心が弱いと思われたくない
ディスチミア型うつ病のせいもあるんだと思うが、「うつ病は心が弱いからなるんだ」とする意見は多い。
表面上理解を示している連中も、実際にはうつ病になる者は心が自分よりは弱く、そして自分はうつ病にはならないと確信しているケースがある。
現実にはうつ病はストレス許容度の問題であり、心の弱さとは別の話だ。だから誰もがうつ病に成り得る。そう、「誰もが」。
自分はうつ病にはならず、うつ病になる奴は心が弱いと思っていた人間もまた、うつ病になる。
そうなった時、素直に言えるだろうか?
自分が彼らに対して思っていた同情、または軽蔑が、そっくりそのまま自分に向けられることになるのだ。
強がる人間は「やり返される被害妄想」で素直に助けを求められない。
もちろん、こう言った自爆をする前の「つよがり」を真に受けて、うつ病になったら馬鹿にされる、腫れ物扱いされるのだと思う混んでしまう者も多く、隠すことになる。
この件に関しては認知度の問題だ。
理解が広まれば、このような偏見は時代遅れの迷信に成り果てるだろう。
意図的に他人を精神障害にする方法は存在する。天然でそれを、しかも好んで他人に行う人格障害者もいる。もう一度言っておくが、心の弱さとは関係ない。
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恥ずかしいことも言っている
前述のメタボやら血糖値やらと比べてみれば、うつ病との大きな違いは「ありふれているかどうか」がまず目につく。
小太りの中年なんていくらでもいる。そこら中にうじゃうじゃいる。
ありふれていて、目立つことはないから。
よほどこちらのほうが自己管理云々で恥ずかしい告白のはずなのに、世間話のノリでする。
ありふれているから、安心して、コミュニケーションツールとして、こう言った「自己紹介」は成立する。
誰も言わないから言えない
ではうつ病はどうだろうか?
「私はうつ病なんですよ」なんて気軽に言えるだろうか。
メランコリー型のうつ病の場合、まず自分がそうであることは隠す。
辛いのに、今まで以上に無理をして「普通」を演出しようとする。
まるでそうでなくてはいけないかのように。
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他の先進国と比べて日本はうつ病が少ない?
海外と比べると、日本のうつ病患者率は比較的少ないと言う統計がある。
探せば見ることが出来ると思うが、見る価値はないだろう。
前述のとおり隠す/我慢するため、まず間違いなくカウントされていないだけだからだ。
周りに知られたくないからと、こっそりと病院に行けばまだいいが、「限界」が来るまでそのまま耐え続ける者の方が多いはずだ(そもそも文化依存症候群が対人恐怖症だと言われている日本人がうつ病にならないわけがない)。
政府に公表されている自殺者数と世界基準のズレ
本人が隠すんじゃ実際の数なんてわかったもんじゃない。考え方を変えてみよう。
内閣府調査に拠る平成27年の自殺者数は、24,025人となっている。
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/h27.html
もちろん自殺する人間は全員うつ病だなんて言うつもりはない。
だが、うつ状態であった可能性は高い。
それを裏付ける話がある。
うつ病患者の自殺率は15~25%とされており、かなり高い確率で自殺に走るケースが見られます。また、WHO(世界保健機構)の統計によると、世界中の自殺者のうち、気分障害(うつ病)を患っていた人は30%に上ります。日本でも自殺者の約60%がうつ病を患っていたと考えられており、その約60%のうち70~80%は心療内科などでの治療を受けていなかったとされています。
http://www.skincare-univ.com/article/008134/
もしもこれが、風邪気味だからと病院に行くノリでメンタルクリニックに行っていたとしたら、いくらかは思いとどまったかもしれない。
そして24,025人と言う自殺者の数。これにはかなり突っ込みどころがある。
前述のとおり、平成27年度の自殺者数は24025人であるが、これはWHO(世界保健機構)の基準には従っていない数値だ。
WHOの場合、「変死者の半分を自殺者としてカウントする」ことになっている。
残念ながら平成27年の変死者数のデータが見つからない。警察庁のサイトでも各種の犯罪についてはあるが「変死者数」をまとめたものが見当たらなかった。
色々調べてみると、一時期変死者数が年間15万人を超えた年があったそうだ。
自殺者数について、ここ10年、連続3万人超とマスコミでも報じられ問題になっています。
日本には年間15万人ほどの変死者がいてWHOではその半分を自殺者としてカウントするので、公表すべき自殺者数は本当は11万人ということで、これは実に他の先進諸国の10倍です。
警視庁で調べたという民主党の山田正彦議員によると、1997年に変死者9万人、2003年に15万人だそうです。
http://rapt.sub.jp/?p=13108
自殺者数についても色々噂があり、3万人前後がずっと続いているのは警察の処理能力の限界がそこまでというだけだと言う話もある。
(噂だが、遺書が見つからなければ変死扱いされるらしい。どうも自殺者にカウントする数を減らしたいようだ)
少なくともWHO基準で言えば日本の自殺者数は10万人を超える年があったということだ。
先ほどの「日本人のうつでの自殺の内、7~8割は診療を受けていないのでは」と言う話と照らし合わせると、10万人の6割がうつの自殺ということで6万人、そこから7~8割の42,000~48,000人は「うつ病なのに治療を受けずに自殺をした」という計算になる。
あなたにとってこの数は多いだろうか。
それとももっとあるはずだと思うだろうか。
「恥の文化」
その時も思ったが、このような、
「『普通』を演じ続けなければならない」
と言う強迫観念が根強く巷に溢れている。
そしてその基準は幼稚な偏見と思い込みから作られた「世間体」であり、これらを再現/維持するために死ぬまで我慢する。
何のための命だろうか。誰のための人生だ?
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